おとぎ話の英雄 中編






 物見遊山ながらも、第三シュレイド城に到着したメイラは、不機嫌な顔で城を見上げた。

 「なによ、これ、立ち入り禁止?」

 改装中との事で、全ての入り口が封鎖されている。
 しかも、ギルドナイトの姿もちらほらと見受けられ、明らかにただの工事という雰囲気ではない。
 メイラとしては、ギルドにあまりいい思い出がないので、あまり長居はしたかくなかったが、ここまで来て、何も見ないで引き返すというのも面白くない。

 「うーん、どこかに抜け穴とかないのかな」

 城の外壁にそって歩き出す。
 何箇所かは、城内にもぐりこめそうな部分もあったのだが、そういった場所には必ず警備の者が立っていた。
 目を合わせないように、ぐるりと一周した結果。

 「ダメね、これは」

 という、結論に落ち着いた。
 とにかく監視に穴がない。緊張感に満ちた城外は、あらゆる訪問者を拒んでいる。
 さて、どうしたものかと考えていると、一人のギルドナイトが声をかけてきた。

 「失礼、この城にはどのようなご用件で?」

 口調は柔らかいが、答えを強制する迫力がある。
 昔から変わってない、とメイラは思う。
 自分がまだ英雄と呼ばれた頃、ギルドからの勧誘はあったが、いつもそうだった。
 地位や名誉を見返りに、絶対服従の首輪をつけろ。
 言い方はそれぞれだったが、内容はこれに尽きる。
 それが、メイラの気に障った。
 自分だけでは何もできない、少しばかりの腕でギルドの犬になった者が、偉そうに。
 メイラは毎度、そういった輩には拳で返答したものだ。
 だが、ただ一人。
 何度、邪険にしても紳士的に誘いをかけるギルドナイトがいた。
 それなりの腕前だろう雰囲気はあり、弱き者を守るためにギルドに入ったという男。
 こういう男もギルドにいるのかと、感心したものだが。

 「質問に答えろ。今、この城は封鎖中だ。どこのハンターか知らんが、とっととうせろ」

 あいにく、こういう輩の方が圧倒的に多い。

 「聞こえなかったのか? 消えろといっている。私の手をわずらわすな」
 「・・・まったく、男のくせに女よりよくしゃべる」

 ここで拳が、昔のように飛ばなかったのは、成長したからか。
 メイラは、そのギルドナイトをにらみつけ、立ち上がった。
 そして背を向けて歩き出す。

 「おい、待て!」
 「なによ」
 「貴様、ギルドナイトの私に、無礼な真似を」

 メイラの拳が飛んだ。

 「あー・・・やっちゃった」 

 足元でのびたギルドナイトを見つつ、メイラはため息をつく。
 どうも、連中を見ると昔を思い出してしまう。

 「おい、なにをやってる!」

 騒ぎを見つけた数人のギルドナイトが、走ってくる。

 「最悪」

 メイラはそそくさと逃げ出した。
 ここで捕まっては、厄介この上ない。
 しかし。
 振り返って走り出したすぐ先には、黒い衣装のギルドナイトがたっている。
 隊長クラスのナイトだった。

 「困りますね。何の騒ぎですか?」
 「さぁ。いい天気だから、熱にやられたんじゃないの?」

 トントンとステップを踏み、メイラは黒いギルドナイトのスキをうかがう。
 しかし。

 「・・・へぇ。今のギルドにもアンタみたいのがいるんだ?」

 スキがない。
 戦えば勝つだろうが、時間はかかりそうだ。
 その間に、他の連中に囲まれる。

 「それはこちらのセリフですよ。野にも、貴女のような実力者がいるとは。私の知る限り二人目・・・ん?」
 「?」

 ギルドナイトから緊張が消え、いぶかしげな顔になる。
 その瞬間を見逃すメイラでない。すばやく駆け出し、横をすりぬける。

 「『銀の疾風』?」
 「え?」

 ギルドナイトの声に、メイラが動きをとめる。
 その一瞬の間に、腕をつかまれる。
 そして、グイと引き寄せられた。

 「ちょっと、なにするのよ!」
 「まちがいない・・・『銀の疾風』・・・やはり、生きてらしたのですね」
 「ん?」

 その顔は、以前、メイラを熱心にギルドに誘っていたあの男だった。 





 第三シュレイド城、城内。

 「ふーん・・・なるほどねぇ」

 城内に通されたメイラは、黒いギルドナイトに話をきいていた。

 「まぁ、にわかには信じられないでしょうけれども、事実です」
 「あの『龍喰らい』が、実話とはね」

 話を聞くうちに、今まで疑問に思っていた事が解消した。
 『龍喰らい』とは、一人ではなく、複数。現在、『龍喰らい』として活動しているのは二人。
 これまでも、そうして何人かの『龍喰らい』が存在したのだろう。
 ゆえに、いつの時代にも存在したというわけだ。
 確かに、おとぎ話では、一人という記述はなかったが、なぜか故意に一人と思わせるふしもあった。
 ギルドにより、なんらかの情報操作が行われているのかもしれないが、聞いた所で答えは返ってこないだろう。
 くわえて、『龍喰らい』はパーティーではなく、それぞれが個別に戦っているとの事だった。
 メイラはたずねる。

 「二人で戦ったほうがいいんじゃないの?」
 「確かにそうなのですが、この国は多少、特殊でして」
 「ん?」
 「黒龍が現れるのは、ここより四日ほどかかる火山の向こう側。そこから、この国にやってきます」
 「・・・」
 「しかし黒龍とはいえ、飛び続ける事は不可能。飛行限界距離は、人の足で二日ほどの距離にあります」
 「ふむ」

 ギルドナイトは地図を広げて、メイラに説明を続ける。

 「火山からは、大河の流れにより、四本の道となります。黒龍が降りて羽を休める場所はこの道中以外ありません」
 「確かに陸地は少ないわね」
 「そして、それぞれの道に、シュレイド城があります。火山で迎撃が失敗した場合は、ここで討ちます」
 「ふーん・・・じゃあ、全部の城にパーティを待機させておけば?」
 「色々と理由はあるのですが、その一つに武器がたりません。失礼ですが、今『銀の疾風』がお持ちのゲイボルガでも討伐は難しい相手です」
 「へぇ。じゃあどうするの?」
 「『龍喰らい』には、先人達鍛え続けた武器が受け継がれています。他にも使い手のなくなった武器はギルドが管理しており、この城にも何点か補完されています。それを使用します」

 詳細内容は機密です、とつけ加える。

 「なら、火山で全員が集まれば、いいんじゃないの?」
 「かつては、その案もあったのですがまれに火山で降りる事なく、飛び去る場合もあるのです」
 「厄介ね」
 「となれば、途中の城も素通りです。普通のハンターやギルドナイトが束になったところで、無傷の黒龍を討つ事は難しいのです」
 「・・・」

 仕方なく、この布陣というワケなのだろう。

 「あれ、でも待って。二人っていってたわよね」
 「はい」
 「一人が火山にいるなら、残り一人。道は四本・・・三つも城があくんじゃないの?」
 「そうです。我々としては、賭けにでるしかなかったのですが、状況が好転しまして」
 「へぇ、どうしたの?」
 「・・・」

 ギルドナイトは笑顔でメイラを見る。

 「・・・」
 「・・・」
 「ウソでしょ。冗談じゃないわ。なんでアタシがそんな」
 「ははは、冗談です『龍喰らい』は五人おります。この城を受け持つ『龍喰らい』にも報を出しています。今頃、向かっているはずですよ」
 「なによ、驚くじゃないの」

 笑顔のまま、ギルドナイトは話を続ける。

 「しかし、返事が返ってこないんですよ。不慮の事故かもしれませんが・・・なんとも不安です」
 「・・・へー」
 「我々は万が一にも備えなければいけません」
 「・・・」
 「『銀の疾風』ともなれば、『龍喰らい』に勝るとも劣らない、と私は思うわけです」
 「またまた。冗談うまくなったよね」
 「冗談がまうい、そう言われたのは初めてです」
 「・・・本気?」
 「あくまで万が一ですから」

 ダッと立ち上がり、メイラは部屋の扉のノブに手をかける。

 「・・・開かないし」
 「では、お茶でもご用意しましょう」
 「待ちなさいよ。どうしてアタシが、そんなこと!」
 「私も必死でして。どうかお願いします。あくまで万が一です。それに・・・」
 「なによ?」
 「伝説の龍に興味がないですか?」
 「・・・」

 メイラは思わず、黙ってしまった。
  
 「何度も言いますが、万が一です。貴女が、その万が一に当てはまるのは、火山を抜け、四本の道の中、この城に黒龍がやってきた場合、かつ、ここの『龍喰らい』が姿をあらわさなかった時です」
 「そう聞くと確立は低そうだけど」
 「『龍喰らい』は来ますよ。こないはずはありません」
 「・・・ずいぶんな自信ね」
 「ギルドは表向きは綺麗な所ですが、それを保つためには裏が少々、汚れますから」
 「・・・」
 「貴女には家族がおらず、そういう手は使えませんでしたがね」

 ギルドが、目をつけた人材をどうしはても手にいれる時の手段。
 まずは金。次に地位やギルドからの様々な援助。最後に家族を人質にとっての脅迫。
 メイラには家族がおらず、ゆえにその手は使われなかったが。

 「アンタも、所詮はギルドの犬か」
 「ええ。何と言われようとも、人々の平和を守る事が使命と考えてます」
 「・・・」

 目的は正しいものだ。
 しかし手段を選ばないそれは、正しいとはいえない。
 けれど、そうまでしなくては、守れない時がある。
 このギルドナイトはそれがわかった上で、メイラを見ている。

 「・・・ぬるくして」
 「は?」
 「アタシ、猫舌なのよ。あと、苦いのは好きじゃないわ。お茶、いれてくれるんでしょ?」
 「・・・ええ、とっておきの葉があります」

 メイラはイスに座りなおし、地図を見る。

 「黒龍、ね」

 部屋から出たギルドナイトは、部下を呼びつけ、小声で命令を下した。

 「この城はもういい。ゴルドー様には第四シュレイド城へ向かっていただくよう、お願いしろ。急げ」
 「はっ」

 部下が走り去る背を見ながら、ギルドナイトは呟く。

 「運がいい。まさか、土壇場で『龍喰らい』が増えるとは・・・申し訳ない、『銀の疾風』よ」

 閉まった扉に深く頭をたれるギルドナイト。
 そうして上等の茶を入れるべく厨房へと向かいつつも、あと一人をどうするか考えていた。







 第一シュレイド城。
 この城も今はギルドにより、全ての人間が入城規制されている。
 そして、その城深く、控えの間には、三人の女ハンターが身を休めていた。

 「ヒマだなー、ヒマだよ!」
 「ヒマだね、姉さん」

 それを聞いて、メサイアが額に浮かんだ血管をさらに太くする。

 「アンタら・・・勝手についてきた挙句・・・いい加減、私もキレるわよ?」

 命をかけての決戦になるかもしれない。
 もし火山を抜け、この城に現れたなら、間違いなく死線をくぐる事になる。
 かつて一度だけ戦った事のある龍。
 あの頃の自分は、『龍喰らい』の手伝いをしただけだった。
 今、自分の手には、その時『龍喰らい』からたくされている大剣『滅一門』。
 それもギルドから支給された素材により、さらに強化された『超滅一門』へと姿を変えている。

 「黒龍・・・」

 それでもなお、不安と恐怖しかない。
 かつて目指した高み『龍喰らい』として名をはせた、あのハンターが、なぜ自分にこの剣を託したか。
 そして託された時、なぜ自分は断らなかったのか。
 答えはわかっている。ただ、強くなりたかったから。
 『龍喰らい』は、当時でも年をとっていたと言える年齢だった。
 『龍喰らい』は戦いの前に、皆が逃げた城の中、ただ一人残るメサイアに言った。
 もう自分には力がない。だから、この戦いが終わったら引退する。
 そして、跡を継いで欲しいと。いつか現れる次の黒龍を倒して欲しいと。
 メサイアは迷わず頷いた。
 今は弱き存在だが、いつかはその信頼と信用に応える事ができるようになると約束した。
 いつかの日の為に、『龍喰らい』が黒龍と戦う姿を目に焼きつけた。
 どう戦うか、どこを狙うか、どうすれば生き残る事ができるか。
 目を閉じれば、その記憶は鮮明に思い起こす事ができる。
 そして、今の自分ならば・・・やり遂げる事ができる。その自信もある。
 だが、恐怖は収まることなく、しだいに増していく。
 ギルドからの使者がきた時、自分がやる事はない。そうも思った。
 すぐに打ち消した。
 自分には『龍喰らい』との約束がある。
 何よりも重い、ハンター同士の約束がある。
 未熟だった自分に全てを託してくれた『龍喰らい』との約束が。
 それなのに。
 ああ、それなのに。

 「師匠、おなかへったよ!」
 「ペコペコだね、姉さん」

 全ての緊張感を砕く、双子の声。

 「こんの・・・バカ姉妹がぁぁぁぁ!」

 怒鳴られた二人は、顔を見合わせ。

 「あ、ヘンな顔。面白い顔だ!」
 「笑えるね、姉さん!」

 メサイアはガコン、ガコンと部屋中に響く打撃を二人の頭にお見舞いする。

 「痛い、痛いよ、師匠!」
 「とっても痛いね、姉さん」
 「アンタたち、状況、わかってないでしょ!? いい、この城に黒龍がきたら・・・」

 ふと思う。
 黒龍が来たら、この二人はどうするつもりだろうか。
 いや、この二人を自分はどうするつもりだったのだろうか。
 勝手についてきたと自分に言い聞かせていたが、不安だからそれを許したのではないか?
 二人の危険も考えず。

 「・・・」

 身勝手で、我がままで、いつも自分を振り回す、憎たらしい二人。
 人を怒らせて、それを笑って、何度も何度も、それを繰り返す。
 そして、いつでも、どこでも、自分に絡んでくる。いつも、どこへも、自分の後をついてくる。
 とても。
 とても。
 とても、可愛い二人。

 「・・・ねぇ二人とも。お願いだから、城から出て・・・そう、どこか離れた国に行って欲しいのよ」

 メサイアは、真剣に二人に初めて頼んだ。
 もう、お別れになるかもしれない。そう思うと、涙がにじむ。
 思えば、自分はこの二人にどれだけ救われていたかわからない。

 「二人とも、ありがとう・・・私、幸せだった。楽しかったよ・・」

 真剣な表情で言われて双子は。
 やはり笑った。

 「師匠、バカだよ。ん、大バカだよ!」
 「たわけだよね、姉さん」
 「なっ・・・」

 メサイアが何か言い返す前に。

 「師匠は強いのに。師匠は負けないよ?」
 「負けるはずないよね、姉さん」
 「・・・バカ、なに言って・・・」

 最後まで言葉が続かない。
 ここまで信じてくれる弟子に、涙はもう止まらなかった。

 「大好きよ、アンタたち・・・だけど、ゴメンね? 私は死ぬかもしれない。そんな相手なのよ」

 双子は驚くように目を合わせた。
 師である者に、あらざる台詞だ。自分が負ける、そして死ぬと。
 メサイアは、そんな師としての誇りなどどうでもよかった。
 ただ、二人を安全な場所へ、と。
 しかし、双子は、やはり笑った。

 「大好きだって! 師匠が初めてサリナの事、大好きだって!」
 「イリアの事もだよ、姉さん」
 「・・・」
 「サリナも師匠が大好き! イリアと同じくらい大好き!」
 「イリアもだよ、師匠、姉さんと同じくらいに大好きだよ」

 それを聞いて、メサイアは立ち上がる。
 とても幸せな気持ちで溢れる気持ちをおさえて。

 「・・・サリナ、イリア。これは命令よ。すぐに城から出て行きなさい」

 これほど厳しい顔は今までに無かった。
 さすがに二人は驚き、呆然とする。

 「師匠?」
 「・・・?」

 メサイアは締め付けられるような胸の痛みをこらえながら。

 「早く」
 「ウソだよね、師匠? サリアの事、大好きって言ってくれたよね?」
 「イリアにも言ってくれたよね、姉さん、大好きって言ってくれたよ」
 「もう一度。これが最後よ。ここから、この城から出て行きなさい」
 「ヤダ! 絶対ヤダよ! 師匠といるよ!」
 「イリアも、ずっと師匠のそばにいる!」
 「・・・入って!」

 部屋の外で控えていたギルドナイトが、数人現れる。

 「この二人を連れ出して!」

 ギルドナイト達の一人、黒い衣装の隊長が、控えめにたずねる。

 「我々に命令できるのはギルドの者のみ。たとえば『龍喰らい』ですが」
 「ええ、そうね。今から私は『龍喰らい』を継ぐわ。黒龍を倒すまで、ここから動く事はない」
 「相違ありませんね?」
 「くどい!」

 ギルドナイト達が、頷く。
 彼らの役割は二つあった。
 一つ目は、この城に、無関係な者が入り込まないように。
 もう一つは、メサイアの逃亡を防ぐために。
 メサイアは黒龍に対抗できる武器と技量を持つ、数少ないハンター。
 ギルドナイト達は最悪、この二人の姉妹を人質にとる事すら、計画していた。
 それを隠し、無関係なこの二人の入城をメサイアの弟子という事で許していた。
 しかし、今の言質により、メサイアはギルド配下となった。
 定期的な報奨金、屋敷が与えられ、ギルドでの地位や保護も受けられる。
 だが、今、この時より、メサイアはギルドの許可なく、国を出る事もできない身となった。
 あらゆる事に制限がつきまとう。
 それはハンターとしての死を意味する。
 当然、勝手に弟子などとる事はできない。
 だが、もし自分が死んだら、この二人は。
 そう思った瞬間、何も迷いはなかった。

 「師匠、ヤダよ、師匠! 師匠!」
 「・・・うっ・・うっ・・・」

 泣きじゃくる二人を数人で、取り押さえ、連れ出すギルドナイト達。
 ただ一人残った、その隊長へ。

 「あの二人に乱暴は許さない。それと安全な国まで送るように」
 「はい。では、以後、メサイア様のお世話は私が」
 「いらないわよ」
 「ギルド最上位の者には、特定の従者がつくのです。どうぞ、末永くお願いいたします」

 そう言うと、男はメサイアの背後に控える。

 「まるで、飼い犬ね」
 「私の事はどう扱われても結構です。それでもなお『龍喰らい』に仕える光栄に比べれば」

 ギルドナイトの言葉をさえぎり。

 「アンタの事じゃない。私の事よ」
 「・・・」
 「でも、今だけ外にでてくれる?」
 「できません」
 「じゃあ、『龍喰らい』として命令するわ。出て行きなさい」
 「・・・すぐに戻ります」

 ギルドナイトが出て行く。
 冷たい空気と沈黙だけが部屋を染めていった。

 「サリナ、イリア・・・ゴメンね、弱い師匠で・・・ごめんねぇ」

 涙は止まらなかった。





続く・・・





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